背景に受託事業への知識不足、営業目標達成意識か
近畿日本ツーリストは5月2日、一連の受託事業における過大請求に関して記者会見を実施。現時点で最大約16億円の過大請求があったと明らかにし、すでに確定している過大請求分については速やかに返金し、今回の事案発生に至る要因などを説明した。
同社は東大阪市(大阪府)の新型コロナウイルスワクチン接種に係るコールセンター業務に関して、約2億8千万円を過大請求していたことを発表し、同関連事業について過去3年間分の社内調査を進めていた。
今回の会見で同社は、①既に受託数と発注数に差異が認められたもの(大阪府、同東大阪市など計16自治体、合計5億8438万円)②一旦過大請求と分類したもの(再委託先からの請求書の内容に不備があったにも関わらずチェックできていないまま契約先に請求したもの、計算ミスや請求書等の記載不備によるもの等も含め、合理的に証明できる証憑がない案件についても保守的に過大請求と分類、約70自治体、最大見積もり約10億円)―など、総額約16億円の過大請求の可能性があることを認めた。
同社の髙浦雅彦社長は原因として、①新型コロナウイルスワクチン接種に係る受託事業並びに契約についての法律的知識の乏しさ②営業目標の達成意識―の2点を挙げ、今後の対応として、過日に設置した調査委員会を中心に過大請求の事実認定、点検プロセスの妥当性の評価、発生原因の分析と再発防止策の提言準備を進めていく方針を示した。
髙浦社長は、「各事業の目標数値設定等について監督責任を感じている。二度とこのようなことが起こらぬよう再発防止に努め、一日も早く全容を解明できるよう注力していく」と述べた。